■ 仕事

理系の仕事の流儀【報告のコツ2】

■ 仕事

こんにちは黒部です。
今回は機械電気設計、制御技術者、IT系プログラマーなど、理系の仕事の流儀として『報告のコツ』をお伝えします。今回はパート2なので、パート1の理系の仕事の流儀【報告のコツ】も是非読んでみて下さい。

私が機械設計エンジニアとして大企業に勤める中で、優秀な人々に揉まれて得た数々の経験をもとに、報告のコツについて執筆します。

今回は毎日行うちょっとした報告ではなく、腰を据えて行う会議での報告に絞っています。

この記事を読んで実践することで、分かりやすい報告が出来る様になり、仕事が円滑に進み、エンジニアとしてステップアップできます。

理系の仕事の流儀【報告のコツ2】

結論、

『考え方』を明らかにすること

このポイントを押さえておくことが重要です。

私は新製品開発の機械設計担当でしたので、
定期的に開発進捗を部長に報告する場がありました。

そこで良く受けた指摘がこちらです。

「行き当たりばったりな仕事になってる!」
「仕事の進め方を見直した方が良い!」

技術的な内容に入る以前の問題です。
何故こう言われてしまうのでしょうか?

特に若いうちは「自分はこんなにやったんだ!」と
『やったこと』を意識して報告してしまいがち。

しかし部長に限らず他者からすれば、あなたが頑張ったエピソードよりも仕事の目的、全体計画、意思決定する上でどんな選択肢があるか、結論、の方が重要です。

あれをやりました!成果がでました!だけを聞いても、本当にあなたが報告した内容が最善か判断できません。

会議における上司の仕事

そもそも直属上司や部長など、マネジメント職の会議における役割というのは総じて『今後の進め方』の意思決定をすることです。

つまり良い報告内容の条件とは、
意思決定に必要な情報が揃っていることです。

その上であなたの頑張りと能力をアピールできれば素晴らしいですよね。

そこで重要な要素が『考え方』なのです。

『考え方』とは選択と集中

では『考え方』とは何で
どのように伝えればよいでしょうか。

私の経験から以下3つのポイントを解説します。

・『考え方』とは選択と集中
・『選択』は設計パラメータを明確に
・『前提条件』『目標値』を明らかにする

『考え方』とは選択と集中

『考え方』とは数ある選択肢の中から何を選択して、どう集中して仕事を進めていくかということです。

例えばAという課題があって、世の中にはその課題を解決する手段がB~Gまであるとします。

上司が今後の進め方について意思決定ができるようにするには、あなたは会議で少なくとも手段B~Gの情報を提示し、どういう理由でどれを選択し、どう仕事をしてきたかを報告する必要があります。

いきなり手段Bをやりました。
こんな成果がでました。

では、上司や部長は何も意思決定ができないのです。

報告の際は、選択肢を提示して何を選択してどう集中して仕事を進めたかを明確にしましょう。

『選択』は設計パラメータを明確に

選択肢の話をもう少し具体的にしてみます。

例えば機械設計者であれば設計の進捗報告をします。

例えば以下のように荷重PがL/2の位置に加わる部品の強度改善をする場合を例にとってみましょう。棒の長さLは一定とします。

そうすると、強度改善するためにはヤング率Eを変えるか断面二次モーメントIを変える必要があります。ヤング率Eを変えるには材質か調質を変える必要があるため、今回は形状変更のみで強度改善を行うとしましょう。

そうすると断面二次モーメントIを変えるには棒の幅bか高さhを変えればいいのですが、幅bは1乗、高さhは3乗で強度に効いてきます。

つまり、この場合は高さhを変更することが最も強度改善には合理的だということです。

設計おける『考え方』とは、この設計パラメータという選択肢を明確にし、どういった理由で設計パラメータの値を設定したかということです。

今回は非常に簡単な例ですが、どんなに複雑、難解、多自由度な仕事でも必ずこれを意識して報告することをおススメします。

これはIT系の開発職にも当てはまり、例えばAI開発する場合も何のパラメータがどういった理屈でアルゴリズムに反映されるかを明確にしながら報告することは重要です。

『前提条件』『目標値』を明らかにする

さらに報告の際に重要なポイントです。

全ての手段や設計パラメータなどの選択肢を明確にすると、どの選択肢を選ぶか決めるには『前提条件』『目標値』が必要になります。

先程の例では、棒の長さL、材質は変えないという前提条件を明確にすることで高さhを変更することが合理的だという意思決定ができました。

例えばスペースや素材の関係上、高さhは変更できないという前提条件であれば、また強度改善の方向性は変わってきますよね。

さらにここであえて付け加えておくと『目標値』を明確にせず報告を進めてしまう人がいますがNGです。前提条件と同じで目標値がなければ何も意思決定できません。本当に目標値が無い場合もありますが、その場合にも仮目標値を必ず設定しておきましょう。

報告の場において上司に的確な意思決定をしてもらうには、『前提条件』『目標値』を明確にすることが不可欠です。

では設計会議の場で報告をしてみましょう

新人「〇〇用アクチュエータの強度改善の件ですが、このような全体計画としてこのような日程で進めており、本日はこの部分をご説明します。

現在このような課題があり、目標値〇〇まで30%未達です。客先からコストアップと納期延長は不可と言われているので、強度改善の前提条件と考え方は『材質変更無し、現状の設備で対応させる』です。

アクチュエータの強度に寄与するパラメータは〇〇、△△、××であり、それぞれこのような理論式で強度に影響します。先程の前提条件の中で実現可能な手段として、結論、△△の設計変更で対応を考えています。理由としては~~です。

実際に私が△△で解析および試作品評価をこれだけ実施した結果では、強度を20%まで向上することに成功しました。

今後の進め方としては~~。

報告は以上です。がいかがでしょうか?」

上司「確かにこの進め方で良さそうだね。あとは〇〇の設計変更でも~すれば前提条件のなかでも対応できそうだから、同時に少し考えておいてね。」

新人「はい!!」

こんな感じで話せるといいと思います。

おわりに

以上で理系の仕事の流儀【報告のコツ2】は終わりです。

報告のタメにこんなに準備をする必要があるのか。と思う方がいるかもしれませんが、そもそも最低限これだけのことを考えながら仕事を進める必要があるということです。

報告の場ではエンジニアとして上司が意思決定できる『設計の考え方』を意識して話すようにしましょう。

しっかり実践して良いビジネスライフを過ごして下さい。